経営者が知っておくべき解体工事のリスク事例
解体工事は事故やトラブルが発生しやすい代表的な工事の1つです。安定した経営を行うために、様々なリスクに対して適切な備えをしておくことが大切です。ここでは、解体工事におけるトラブル・事故事例に焦点を当て、保険で支払われる場合支払われない場合 で解説を行っていきます。また、経営者が負う責任やその対策についても紹介していますので、どうぞ参考にしてください。
目次 – 項目をクリックで該当箇所へ
- 1. Case1 : 工事中に他人のものを壊す賠償リスク
- 2. Case2 : 工事中に他人にケガを負わせる賠償リスク
- 3. Case3 : 営業を妨害し休業損害を請求されるリスク
- 4. Case4 : 従業員や下請けが死亡、ケガを負うリスク
- 5. Case5 : 過重労働と過労死リスク
- 6. Case6 : リース機械を壊してしまうリスク
- 7. Case7 : 現場の資材や工事用機械などの盗難・破損リスク
- 8. Case8 : 工事が遅延するリスク
RISK
01工事中に他人のものを壊す賠償リスク
対象分野
- 賠償リスク
- 労災リスク
- 現場の『物』リスク
実際にあった事故事例
● 高所での作業中工具を落とし、駐車していた車を破損させた
● 作業の重機が横転し、近隣の店舗を損壊させた
● 解体作業で発生するホコリ(粉塵)が隣家に飛散し、車や建物・洗濯物などを汚してしまった。
こういった事故に備える保険とは
一般的に解体工事中に第三者を死傷させてしまった場合の補償は、対物賠償事故の時と同様「請負業者賠償保険」で補うことになります。この部分だけを担保させる商品もありますが、総合補償タイプで加入するのが主流となっています。ただし、粉塵飛散事故など保険では支払われない事故もありますでご注意ください。
RISK
02工事中に他人にケガを負わせる賠償リスク
対象分野
- 賠償リスク
- 労災リスク
- 現場の『物』リスク
実際にあった事故事例
● 解体途中の壁が崩壊し通行人にけがをさせた
● ビル解体工事でアスベスト飛散事故が起こり、周辺住民に被害を与えた
● 工事の騒音により健康被害を訴えられ、慰謝料と治療費、休業補償を請求された
こういった事故に備える保険とは
一般的に解体工事中に第三者を死傷させてしまった場合の補償は、対物賠償事故の時と同様「請負業者賠償保険」で補うことになります。この部分だけを担保させる単独商品もありますが、総合補償タイプで加入するのが主流となっています。ただし、粉塵飛散事故や騒音被害は対象外となっているのでご注意ください。
RISK
03営業を妨害し休業損害を請求されるリスク
対象分野
- 賠償リスク
- 労災リスク
- 現場の『物』リスク
こういった事故に備える保険とは
一般的に解体工事中に営業を妨害し休業損害を与えてしまった場合の補償は「財物損壊を伴わない使用不能損害事故補償」で補うことになります。ただし、すべての休業損害賠償リスクが担保できるわけではないのでご注意ください。
RISK
04従業員や下請けが死亡、ケガを負うリスク
対象分野
- 賠償リスク
- 労災リスク
- 現場の『物』リスク
実際にあった事故事例
● 家屋の解体作業で木片が飛び散り、下請けの作業員が失明した
● クレーンを使った足場解体作業中、吊り上げた床に乗っていた従業員が墜落し死亡した
こういった事故に備える保険とは
一般的に従業員や下請けが死亡、ケガを負ったときの補償は、「任意労災保険」、「業務災害総合保険」、「労災総合保険」などで補うことになります。
RISK
05過重労働と過労死リスク
対象分野
- 賠償リスク
- 労災リスク
- 現場の『物』リスク
実際にあった事故事例
● 月140時間もの残業を行なっていた末に、社宅で自殺
● 従業員が、過労による精神的苦痛から飛び降り自殺
こういった事故に備える保険とは
一般的に過労死により訴えられた時の補償は、使用者賠償責任で補うことになります。 古いタイプの保険には、この補償はセットできません。また、総合補償タイプの中でもこの補償特約が用意されているものと用意されていないものがありますのでセットできる最新の商品を選びましょう。
こういった事故に備える保険とは
一般的にリース機械を壊してしまったときの補償は、「受託物賠償」、「リース機械補償」などで補うことになります。最近は、総合補償タイプのオプションで加入することもできるようになっています。
RISK
07現場の資材や工事用機械などの盗難・破損リスク
対象分野
- 賠償リスク
- 労災リスク
- 現場の『物』リスク
実際にあった事故事例
● クレーンで吊り上げた鉄材を誤って落下させ、コンプレッサーが破損した
● ブルドーザーが法肩から転落し、大破した
こういった事故に備える保険とは
一般的に現場の資材や工事用機械などの盗難・破損リスクは、「建築工事保険」、「組立工事保険」、「土木工事保険」などで補うことになります。最近は、総合補償タイプのオプションで加入することもできるようになっています。
RISK
08工事が遅延するリスク
対象分野
- 賠償リスク
- 労災リスク
- 現場の『物』リスク
実際にあった事故事例
● 解体工事の大幅な工事遅延に対して損害賠償請求された
● 騒音が原因で近隣からクレームを受け、その対応に追われ工事が遅延した
こういった事故に備える保険とは
一般的に工事が遅延したときの補償は、総合補償タイプのオプションで加入することが一般的になっています。 ただし、すべての遅延損害賠償リスクが担保できるわけではないのでご注意ください。